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平成生まれ2人が始めた「朝の鎌倉まち歩き(ゴミ拾いしながら)」 毎週続けて1年

1年前に出会い、まち歩きを企画した平成生まれの永尾さん(左)と上岡さん

1年前に出会い、まち歩きを企画した平成生まれの永尾さん(左)と上岡さん

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 平成生まれの若者2人がボランティアで始めた「朝の鎌倉まち歩き(ゴミを拾いながら)」が、緊急事態宣言期間と雨天を除く毎週土曜に開かれ、1月で1周年を迎えた。

 1月2日朝8時少し前、鎌倉駅東口からすぐの「MUJI.comホテルメトロポリタン鎌倉店」(鎌倉市小町1)前に、10人ほどの老若男女が輪になってラジオ体操を始めた。「久しぶりだけど体が覚えている」「こんなに激しかったっけ」などと笑いながら体を動かしていると遅れて参加する人もあり、最後の深呼吸になると輪は20人に増えていた。

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 「1年続けてきたが、みんなでラジオ体操をしたのは今朝が初めて」と話すのは、同店の永尾亮店長。永尾さんと共に輪の中心で声を出していた上岡洋一郎さんは「実は、何となく始めるよりみんなでウオーミングアップをしてみたらどうかという参加者の提案で」と続ける。

 「そもそも歩くコースも、その場の成り行きや参加者の思いつきがほとんど。天気がいいから海へとか、鎌倉初心者が参加した時は路地裏を案内するとか」と笑う上岡さん。「そういえば、神社や寺で参加者が手を合わせる写真を撮って巡ったこともあった」と永尾さん。「一生懸命ゴミ拾いをしない、楽しくゆっくり街を歩きながらゴミも拾うというスタンスが長続きした要因ではないか」と2人は分析する。

 2人が出会ったのは飲食店「祖餐(そさん)」(御成町2)のカウンター。おかみの石井美穂さんが、「MUJI.com」の店長として半年前に鎌倉に転居し情報や意見を収集していた永尾さんに、当時不動産店の店長だった上岡さんを引き会わせたのがきっかけ。同じ平成生まれで、地元のために貢献したいという思いも共通な2人は意気投合、すぐにアクションを起こす。

 誰でも気軽に参加してもらえそうなゴミ拾いを思い付き、12月の朝に2人で若宮大路を歩いてみた。永尾さんは「引っ越してきたばかりの頃で、歩いていると発見があり楽しく、何より仲間ができて一緒に行動することがうれしかった」と振り返る。

 「月に1回ペースだと間が開きすぎて続かないことが多い。たとえ誰も来なくても、2人で毎週続けてみよう」と2020年1月25日に第1回を開いた。2人のほかに、上岡さんが立ち上げたボランティア団体「鎌倉ヘイセイズ」のメンバー3人が参加した。

 メンバーの矢田孝次朗さんは「まち歩きとゴミ拾いの組み合わせは面白くて楽しい時間だったが、休みの日にこれから毎週早起きするのかと思うとちょっと気が重かった」と言う。「でも回を追うごとに仲間が増え、次第に楽しさが勝るようになってきて、やめられなくなってしまった」と心境の変化を語った。

 第1回の様子をSNSで発信すると、翌週の2月1日にはファミリーや「昭和生まれだけど」という年配者も含め、参加者は10人になった。「朝から体を動かすのは健康的」「歩いた道は目に見えてゴミが減って気持ちがいい」「知り合いが増えた」と笑顔があふれた。

 3回以降は毎週10人前後が集まり、毎回コースを変えて歩いた。1カ月が過ぎると「いつも参加してくださる方も増えて、仲間たちと一緒にこれからずっと続けていこうという思いが高まった」と永尾さん。ところが、この頃から少しずつ新型コロナウイルス感染拡大が影を落とす。

 3月はアルコール消毒や密にならないことを徹底しながら何とか継続していたが、4月の第1週は事前告知を控えた。ところが当日の8時、集合場所に常連の8人が現れる。「習慣になっていたので来てしまった」「一人だったとしてもやるつもりで来た」「やらないと気持ち悪いから」と、ソーシャルディスタンスを保ちながら風通しのいい若宮大路を歩いた。

 4月7日の緊急事態宣言で休止としたが、自粛期間中も土曜の朝は自主的に自宅の近所を歩いてゴミを拾ったというメンバーもいたという。

 緊急事態解除宣言が出された5月25日以降は、8月の第2波の影響での1回と雨天以外は休まず続けた。秋になると初参加者が増え毎回20人を超えるようになり、2グループや3グループに分かれて歩ようになった。

 「こうなってくると、心配なことも出てきた」と永尾さん。「僕自身が遠くない将来、転勤で鎌倉を離れる可能性もあるため、ヘイセイズのメンバーに相談した。『分かっているよ』『一緒に準備しよう』と言ってもらい、こんなふうに人の循環も含めた運営ができる活動こそが長く続いていくのだろうと確信した」と言う。

 1月2日はラジオ体操の後、トングやビニール袋を受け取った参加者が2グループに分かれ、若宮大路を南下し由比ガ浜海岸を目指した。元旦に初日の出を拝んだ人たちが残したゴミが多いのではないかと考えたからだが、一昨年の12月に2人が初めて歩いたコースでもあった。

 予想通り、道路も海岸もホットスナックや飲料、タバコの吸殻などがいつもよりも多かった。「道路の植え込みに色とりどりの缶やペットボトルの花が咲いている」「吹きだまりの落ち葉の中からゴミを見つけるのは宝探しみたい」「また、おみくじが入っていた紙袋が落ちてるよ」と参加者はゴミ拾いを楽みながら歩いた。

 ちょうど30回目となったこの日は26人が参加し、通算の参加者は延べ448人になった。

 上岡さんは「今日は新年特別企画として時間も30分延長したが、これからも皆さんにアイデアを出してもらって変化を付けながら続けていきたい。今まで以上にいつでも誰でも参加できる、ゆるくて楽しい活動に。行政の若い世代や障がいのある方なども参加してくれたらうれしい」と呼び掛ける。

 永尾さんは「まち歩きが主題で、ゴミ拾いが副題。楽しいから続けられて仲間も増える。まち歩きの仲間が増えれば、ゴミを拾う人が増える。ゴミを拾う人が増えれば、ゴミを捨てる人が減る。そんな連鎖で、結果的に地域にとっても意味のある活動にしていきたい」と今後を見据える。

 昨年、川崎から鎌倉市腰越に転居してきた書家の日高博志さんは、江ノ電に乗って鎌倉駅まで毎週やって来る。「会社員ではない自分にとっては1週間のいい区切りになっていて、もう欠かせない。参加した土曜日は、だいたいいい一日になる」とほほ笑む。

 集合時間に行ったが気後れして入って行けずに帰ってしまった人の話を聞いたという佐藤美奈子さんは「ラジオ体操をやっている時に、そっと後ろから輪に入ってしまえばいいのでは」と笑って呼び掛ける。

 開催時間は毎週土曜8時~9時、集合場所は「MUJI.comホテルメトロポリタン鎌倉」前。手袋、トング、ビニール袋は用意するが、持参も歓迎。ラジオ体操は7時50分から。2度目の緊急事態宣言発令で1月の開催は休止に。

(鎌倉経済新聞)

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